クラシノカタチ

2013/10/24

キューブリック映画のCandleNight

コラム // 後藤昇

キューブリック映画のCandleNight

暮らすプラス

家は家族が暮らすだけでなく、人と人が集う場所として真価が問われる時代になって来た。だからこそ暮らしの中にひとつ、ちょっとプラスするだけで住まいの暮らしは、もっと楽しく豊かになるはず。家族が集まり、仲間が集まり、そして人と人がつながって行く、そうした体験をもっと多くの人に体感もらえたらと思い「Culas+」がはじまった。

東日本大震災後に実施された輪番停電の真暗闇の夜に灯された、キャンドルの炎との出逢いが、そのきっかけであった。

暮らすプラス

ロウソク3本のみで撮影

暗闇の中、キャンドルの灯火を見ていて思い出した映画がある。好きな映画監督スタンリーキューブリックの作品のひとつである18世紀のアイルランド貴族社会を舞台にした「バリーリンドン」だ。リアルを追求する映像美で、映像芸術家と呼ばれているキューブリックの真骨頂のような作品。リアルで絵画的な映像演出が評価され、アカデミー4部門(美術監督・装置賞、撮影賞、衣装デザイン賞、編曲賞)を受賞している。この映画を撮影するのにキューブリックは、本物の城と衣装そして本物の光を使うことに拘り、18世紀の生活をリアルに再現している。

撮影は自然光とキャンドルの光のみ、当然夜のシーンはキャンドルの炎の灯り。中には3本のみで撮影されたシーンもある。 よってその映像は、まだ電気照明の無いキャンドルの灯りの中で暮らす当時の生活がリアルに再現されていて、キャンドルの灯火のゆらぎがとても印象的な映画である。
夜のシーンを見ると、部屋全体を明るくできないキャンドルの灯りの下では、より表情が相手に伝わり、人と人が近く密接に過ごしていたことが感じられる。明るすぎる夜には鬱陶しいほどの距離感でもある。

余談だが、このキャンドルの光だけの撮影は従来のカメラレンズでは不可能な為、NASAがアポロ計画で開発し月で使用した「カールツァイス Planar 50mm F0.7」という、カメラに少し詳しい方なら驚きの明るさ「F0.7」の大口径レンズで、暗いシーンの撮影が可能になったそうだ。

暗闇の中の灯火

震災後体験した、夜7時に街が真っ暗闇になる輪番停電。ほんの数時間だが、家に居る事ができず停電のたびに、気がつくと電気の灯る隣街で過ごしていた。 家があるにも関わらず...恥ずかしい事だが、電気の無くなった生活に耐える事ができなかった。 その頃出会ったのが、鑞飾人フジキャンドルの鍋山純男さん。ハンドメイドで独創的なキャンドルをつくり飾るキャンドルアーティストだ。

沢山のキャンドルが並べられた暗闇空間でひとつの火を灯してもらう。その瞬間青白いグラデーションキャンドルが暗闇に浮かび、「バリーリンドン」のシーンのように炎がゆらゆらと揺れ始める。暫く息を呑み、不規則に揺れる炎をみつめてしまった事を思い出す。鍋山さんはこの炎のゆらぎは1/fのゆらぎと同じであると話ながら、次々と並べられたキャンドルに火を灯して行く、30個位着けただろうかイロトリドリのキャンドルが幻想的に浮かび、炎のゆらぎの影が壁に写り圧巻の光景となった。

暗闇の中の灯火

キャンドルナイトがはじまった理由

ロウソクやキャンドルは日常、落ち着いて洒落たカフェやレストランやバーなどで使われているが、住まいではどうだろうか?我家では仏壇の和蠟燭以外、思い当たらなかった。近年核家族化が進み、オール電化の普及やタバコ禁煙の拡がり等もあり、炎さえも目にしなくなっていると感じた。
「火の発見は、人類の文明のはじまりであり、人の生活を大きく変えた大切なもでもある」という話を思い出す。
鍋山さんと暫くキャンドルのゆらぎの中で話しているうちに、日常の住まいにキャンドルのある生活を伝えて行こうかと意見が重なり合い、その日のうちにモデルハウスに100本のキャンドルを灯し、絵画を鑑賞する「キャンドルナイトアートギャラリー」の企画が固まった。

キャンドルナイトがはじまった理由

フルーツのようなキャンドル

鍋山さんのキャンドルは、イメージしていた嫌な匂いや煙もなく、安全であり最後まで燃え尽きることまで考えつくられている。 また独創的なのがキャンドルの種類である。よく目にするマーブルのグラデーションキャンドルだけでなく、雪の結晶が固まったような「フローズンキャンドル」伝統工芸梨園染とコラボした「手ぬぐいキャンドル」写真を転写した「フォトキャンドル」空間演出用の太く高さ1m以上ある「デコレーションキャンドル」などひと味もふた味も異なるキャンドルを創作し続けている。
僕のおすすめは、新作の手捏ね手捻りのまぁるいキャンドル。バスケットに入れるとまるでフルーツのような素敵なキャンドルである。

フルーツのようなキャンドル

新しいクラシノカタチ

キャンドルナイトは、現在まで富士、沼津、藤枝、の第一建設各店のモデルハウスで毎月1回延べ37回開催して来た。キャンドルのある住空間で、料理、音楽、珈琲、茶、華、などのさまざまなカルチャーを組み合わせた体験イベントで毎回満席の人気となっている。途中からはじまったキャンドルヨガも人気だ。

そして解ったコトがある...火には人が集まりそして繋がるという事。やはり人には火と暮らすDNAが宿っている。 ここからはじまった様々なCulas+の企画。それによりアーティストとお客さまが繋がり一緒になって、暮らしをプラスするアイデアがひろがりはじめて来た。

ここで体感した事が、それぞれの家庭の新しい「クラシノカタチ」になることを願いたい。

今回からはじまったこのCulas+「クラシノカタチ」のページは、暮らしにちょっとだけプラスとなりそうなコトを、コラムやインタビューなどを中心にゆるりと綴って行きます。


文.写真 / Culas+企画運営 後藤 昇

鍋山純男    http://culas-plus.jp/artist/nabeyamasumio.html
フジキャンドル http://www.fujicandle.com


キャンドルナイトフォトギャラリー
2012.05/03[木] 開催 2012 Spring Art galleryキャンドル展
2012.12/01[土] 開催 藤枝HIBIKI Duo 藤枝キャンドル&リキッドライティング・アートナイト
2013.01/12[土]開催 沼津iSAI 冬のキャンドルナイトお茶会&リキッドライティング・アートナイト
2013.04/06[土] 開催 藤枝HIBIKI Duo × paper dripper キャンドルナイト&Cafe
2013.05/18[土] 開催 富士 SORA・MADO Oasis Sake&Wine&カクテル&キャンドルナイトシネマ
2013.06/01[土] 開催 沼津iSAI キャンドルナイト ~茶・華・灯~ 
2013.06/15[土] 開催 富士 SORA・MADO Oasis Coffeeドリップ&キャンドルナイトシネマ
2013.09/07[土] 開催 藤枝HIBIKI Duo キャンドルナイト&Cafe 記念日を彩るキャンドル×Cafe×スイーツ

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